• テキストサイズ

6月合同企画【相合い傘】

第6章 黒子のバスケ/黄瀬涼太


「…とにかく涼太のせいじゃないから。私は私自身を守るためにそうしたの。ごめん」
「わかんないっス!ちゃんと言ってくれなきゃ…」
「お願い、聞かないで」
「嫌っス」



やめて、期待させないで。
私はまだ涼太が好き。
だけどそれは涼太を不幸にする。
だからもうやめて。



「オレはっちに何を言われても嫌いになれないんスよ!」
「え、」
「だから!まだ好きなんだって!」



雨音に負けないくらいの大きな声で…何を言ってるの。
涼太が…?私を、まだ?



「もー…こんな形で言うとかなんスか。超ダサい」
「えっ、と…」
「わかったでしょ、教えて」
「でも…」
「言ったってオレが不幸になることは無いっスよ」



なんでこうも涼太には全てバレるんだろう。
嬉しいような、複雑なような。
不幸になることは無いって言ったって、迷惑はかかる。
本当に言っていいのか、でももう過去のこと…。



「過去のことなんて思わないで。今この状態の方がオレは不幸なんス。だから言ってくれた方がいいんスよ」
「涼太怖い…」
「え?!ごめん?!」
「違う、なんでもお見通しなんだもん」
「それは愛の力っスね!」



なんでそんな嬉しいこと言ってくれるの。
そんなこと言われたら私の気持ち全部言ってしまうよ。
言っていいの?
全部聞いてくれる?



「……私のせいで涼太が…」
「オレが?」
「モデル業が疎かになったとか冷たくなったとかって…」
「なんスかそれ。関係なくないスか?」
「そう、なんだけど…涼太に迷惑かかるの嫌で…その…」



モデルと付き合うとはそういうことだ。
わかってはいたが、好きだった。
でもその好きな人に迷惑がかかるなら、私は別れを選ぶ。

今となってはそれが間違いだったとも思えるけれど。



「ほんっっとバカっスね」
「返す言葉もございません…」
「っちは時々1人で暴走するよね」
「……」
「これからはちゃんと頼って」
「ハイ……え?」



これから、は?
今、何かサラリとぶっ飛んだことを言われたような…。



「オレのこと、まだ好き?」
「う…ん…」
「じゃあ言うまでもないっス。っちはオレが守る。ね」



一本の傘の下、真っ直ぐに向けられた言葉はスッと私の心を軽くした。

…気がつけば雨は上がっていた。





end
/ 22ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp