第10章 恋愛論Ⅹ
久世が隣にいる授業はすごくわかりやすかった。
「・・・うー、」
「みゃあ、これ、」
「ん?」
「ここを代入すると、こう。」
「・・・うん、」
「で、こう仮定すると、」
「うん……あ、」
「わかった?」
「…わかった!」
今まで呪文書に見えていた、数字の羅列が、やっと理解できて感動が収まらない。そんな私を見て、久世が「ん、」と嬉しそうに口元を緩ませ相槌をうつ。
なぜか突然、久世とのこの距離に緊張した。
「なに?」
「…あ、ううん、」
「変なの。」
「う、うん。」
このあと少しも久世の顔が見れなかった。