第7章 恋愛論Ⅵ
隣の教室まで行くと、新田くんがニコニコしながら入口まで出てきてくれた。
「宮原さんが呼び出しだなんて、珍しいね。」
「はい、どうも。」
「何、どうしたの。不機嫌?」
「そうよ、あなたのせいで不機嫌ですよ。」
「あれ?俺なんかしたっけ。」
宮原さんには手出してないはずなんだけどな、と右上を見つめて思い出す素振り。新田くんには被害者女性が多いみたいだ。考えるだけで、恐ろしい。
「最近、女の子フリました?」
「うん、なんで?」
そんな軽く言うことか。乙女の気持ち踏みにじるなよ、このチャラ新田。
「久世がタイプだから、とか言う理由でフリました?」
新田くんは一瞬考えると、「ああ、あの子か」と呟いた。最近だけでも何人か思い当たる人がいるらしい。
「その子がなに?」
「いえ、その子ではなく、その理由は、なに。」
「え?本当のことだけど?」
「BL発言か。」
「あ、そうなる?残念だけど、生粋な女の子好きで、ただ少しアブノーマルなだけだから、安心して。」
爽やかな顔したモテ男子は朝っぱらからサラッと凄いことを言う。
「いろいろ、ツッコミたいよ。」
「うん、宮原さんのそういう感じ、俺好き。」
忘れてました、新田くんもイカれ組だった。