第11章 episodeⅠ橘 有雅
「宮原、これからも面倒見てやるよ。」
「は、い?」
「卒業までの間、いつものつまらない話、聞いてやるっつてんの。」
「え…」
「なに、不満?」
「…はい、不満です。」
「調子乗んなよ、」
いつもの調子で言ったのに、宮原は急に悲しい顔をした。
「・・・そんな寂しい事言わずに、卒業後も、何卒よろしくお願い致します。」
「・・・なに、それ。」
「だって、せっかく仲良くなれたのにこの場所だけじゃ寂しいじゃないですか。」
「・・・ばかじゃない。」
「へっ、どうせ馬鹿ですよーだ。」
僕に足りなかったのは、宮原みたいな素直さなのかもしれない。トゲトゲした僕の性格が、こいつのせいで切れ味最悪。お陰でたまに素の自分でも、こっぱずかしいことを言えたりする。
僕が相手にしなくても、隣でまだブーブー言う宮原に平和だな、と笑いが出た。
「こちらこそ、よろしくね・・・宮原。」
僕の言葉を聞いて、嬉しそうに笑う宮原。それを見ていて気づいた。
人が喜ぶ顔は、嫌いじゃない。
鈴音にも宮原を会わせてやろう、そう思った今日この頃。
『 自分の居場所 』END.
「先輩、可愛いとこあるじゃないですか。」
「・・・、」
「そおやって素直になればいいのに。」
「・・・・・・、」
「まあ、私だけですもんね、ホントの先輩知ってるのは。」
「今すぐ知り合いやめてもらってもいいですか。」
「え!知り合い!」
自分を出せるのは本当だけど、イライラしない、こともない。