第2章 ここが校舎裏の駐輪場である事をお忘れなく。(月島蛍)
可愛らしく笑って、そう少し恥じらいながら。
貴方が好きと素直に言えたならどんなにいいか。
そんなこと私に…
「出来るわけないじゃん…」
そうして今日何度目かの溜め息を水道の前でつく。
烏野高校男子バレー部のマネージャーの私は部員の水分補給用のドリンク作り真っ最中。
大きなタンクにスポーツドリンクの粉と水を入れる事これで三回目。
「なぁ、は言わないの?月島に好きだって……モガッ!」
「ちょ!誰かに聞かれたらどぉすんだ!バカ日向!!」
「ん゛ーーーーっ!!」
突然ひょっこりと隣に現れた日向翔陽の口を手で塞ぐ。
こんな所で人のトップシークレットをさらりと言うなんて信じられない。
「大体練習は!?」
「ぷはっ!今休憩だよ…あー死ぬかと思った…」
「もう…」
でも、日向の言う通り。
私は月島蛍が好きだけど、それを彼に伝えていない。
いや、伝える勇気がない。
「揃って水道塞がれてると邪魔なんだけど」
「月島!」
「…!」
聞かれた?聞かれてないよね??
「」
「うわぁ!はいっ!」
「…何、うわぁって……」
「イエ、ナンデモアリマセン…」
「タンク」
「え?」
「水、溢れてる…」
「!!?」
慌ててタンクを見ると並々と溢れる水。
これじゃスポーツドリンクかなり薄まってるんじゃ!!
「そう言うことは早く言ってーッ!!」
急いで水を止めて三分の一程水を流す。
蓋を閉めて溜め息を追加で一つ。
「潔子先輩に粉追加で貰わなきゃ…先戻るね」
二人にそう言い残すと体育館へ急いで戻る。
私はこんなにそそっかしいし、日向といつも騒いでるし…女の子だなんて絶対思われてない。
ましてや蛍は騒がしいのは好きじゃない。