第12章 彼女の考えている事はきっと誰にもわからない。(青城逆ハー)
全てはそう3月初め、卒業を目前に控えた青葉城西高校の3年生の教室での男子バレー部マネージャーのの言葉がこの話の始まりだった。
彼女はマネージャーであると共に、及川と岩泉の幼馴染みでもある。
「「「「……は?」」」」
彼女の発言にお昼を食べていた男子バレー部3年生ズは一斉に口を開けた。
岩泉(以下、岩)「オイ…今なんつった?」
花巻(以下、花)「えーと、ちゃん?それ俺らとでいいの?」
及川(以下、及)「えー!ナニソレ行きたいっ!」
松川(以下、松)「及川、声大き過ぎ」
4人がそれぞれの反応を示す中、彼女は自分のペースを乱すことなく話を続けた。
「うんっ!皆で温泉、行こうよ!卒業旅行!」
及「ちゃんは仲間思いだもんねー」
岩「俺には何も考えてねぇ様にしか見えねぇけど」
のこの提案に手放しで喜んでいるのは及川だけで、他の3人は同じ様な表情を浮かべていた。
行きたいけれど良いのだろうか?そう言った顔だった。
は男女間の差に疎いところがある。『バレー部の仲間』は『バレー部の仲間』であって男も女も関係ない、それが全てなのだ。
夏の練習ではマネージャーでも暑い体育館で汗をかく。そのTシャツを体育館で着替えようとするのだ。
慌てて岩泉が止めたり、松川が声を掛け事なきを得るが、そんなを見て金田一が何度倒れた事か。
花「まぁ…ちゃんが良いって言うなら良いんでないの?」
松「もう及川、行く気満々だしな」
岩「…めんどくせぇから下の奴等に言うなよ」
花「それは同意」(笑)
引退したとは言え、後輩達からも絶大な人気を誇るとの温泉旅行などバレたらうるさいに決まっている。
斯くして、青城3年生ズの温泉1泊旅行は静かに幕を開けたのだった。