第8章 七色より美しい色があるとしたらそれは君だと思う。(菅原孝支)
「朝は晴れてたのになぁ…」
昼休み、教室で弁当を囲みながら窓の外を覗きながら大地が呟いた。
言葉に促され俺も外を眺める。
どんよりとした雲が空を覆っていて、同じ場所に留まることなく風に吹かれ流れていた。
「台風って朝テレビで言ってたけど…でかそうだなぁ」
屋上や中庭でいつも弁当を食べる生徒たちも今日ばかりは教室で食べている。
当たり前だよなぁ。
「大地ー!スガー!今日放課後の練習休みんなった、台風来てるからって!」
声のする廊下を見ると旭が手を挙げていた。
「おー、わかった!旭、メシは?」
「今日購買だから行ってくるよ!」
「旭、サンキューな!」
購買へ行く旭を見送り、また窓の外を見る。
「こりゃ本格的に荒れそうだな…スガ、帰り気を付けろよ?」
「はは…俺たまに旭より大地の実年齢疑う時あるよ?」
同い年なのに大地の周りを気遣う力はスゲーと思う。
主将やってるからとかじゃなくて、コイツが元々持ってる力なんだろうな。
そんなことを思いながら弁当の箸を進ませた。
放課後になると風と共に雨も降りだしてきた。
「スガ、俺一応体育館見てくるわ、先帰っててくれ」
「さすがに居ないんじゃないか?」
「んー、日向と影山辺り居そうな気がしてな…」
「あーそれはあり得る 笑」
教頭に見つかる前に帰して来ると意気込んで大地は体育館へと向かっていった。