第7章 童話パロディ『白雪姫』(月島蛍)
この世で一番美しい姫、白雪姫と例えられ愛される姫は継母である女王に殺されそうになり森へと逃げてきた。
「…もう、走れないよ…っ……あれ…こんな所におうちがある…」
疲れ果てた姫は小さな家の小さなベッドで眠ってしまった。
そこは七人の小人の住みか。
仕事へ行っている小人達が戻ってきて一騒ぎが始まった。
「なぁ!みんなー!誰かいるっ!!」
「誰って誰だよ翔陽…ってうぉー!!すげー美女!」
姫に一番に気付いたのは日向小人と西谷小人。
小人の中でも賑やかで騒がしい二人。
そんな騒がしさに姫は目を覚ました。
「ん…」
「あ!起きた!」
「あ…ごめんなさい、ここは貴方達のおうち?ずっと歩いていて…疲れて休ませてもらっていたの…」
他の小人達も集まり、姫はこれまでの経緯を話した。
「だったらここに居なよ、みんな良いヤツだからさ」
そう言って爽やかに笑うのは菅原小人。
「旨いメシ作れんなら…俺は別に構わないっす」
「とか言ってここに居て欲しいくせによー!」
「うっせぇ!日向ボゲェ!」
と日向に冷やかされるのは影山小人。
「まぁまぁ、君さえ良ければ居てくれると助かるよ、コイツらの面倒も一人じゃ見切れないしな…月島も良いだろ?」
「ツッキー!可愛いお姫様だね!」
「山口うるさい」
説得するように笑い掛ける澤村小人とキラキラした目で姫を見つめる山口小人。
そして、その後ろで興味なさそうにしているのが月島小人。
最早、小人ではない。
「皆さん…ありがとうございます!」
こうしてトントン拍子で姫は森の中の小人の家で暮らすようになった。