第47章 貴方から届いた50音の最初の2つ。(月島蛍)
「…………!」
瞳を閉じる事も忘れ、は至近距離の月島の顔を見つめる。
(睫毛、長い………)
「……んっ」
ボーッとした意識が現実に戻ったのは、触れ合った唇の隙間から彼の舌が入ってきて自分の舌先に触れた瞬間。
は咄嗟に月島の両腕を掴んだ。
「………これで合ってた?」
そっと離された月島の唇から吐息と共に溢れ落ちた言葉。
はそれに応えるようにそっと頷いた。
「………っ、」
「…いった、」
途端、ハッと我に返ったは急激に恥ずかしくなって月島の胸におでこを勢い良くくっつける。
「いきなり何…」
「や、その…ですね、なんか…恥ずかしくなっちゃって…」
「へぇ…で、今のこの状況は平気なんだ?」
「いま…………?あ…っ!?」
そう問われて、そっと顔を上げれば自分の置かれている状況がハッキリと見えた。
月島の長い脚の間に入り、体を預ける形で彼に寄り掛かる。
見上げれば、端正な顔が笑みを浮かべて自分を見下ろしていた。
「ご、ごめ……っ、」
慌てて離れようとするも、そんな事を月島が黙って許す筈もなく。
ガッチリと背中に右腕を回され、左手は優しくの髪をといていた。
「つき、月島くん…っ」
「離すわけないデショ…まだ肝心な事を言ってないんだから」
「え………?」
そのまま強く抱き締められ、耳に月島の熱い吐息を感じた。
「好きだよ」
今までに聞いたことのない位の優しい、優しい声。
その声と抱き締める優しい手にの胸はじんわりと温かくなっていく。
「あぁ、間違えた」
「…え?」
「欲しいのはコッチだったね」
突然訂正されて傷付きそうになっていた心に降ってきたのは最上級の愛の言葉。
「愛してる」
END.