第46章 真夏の方程式、答えは全て彼の手中に。(二口堅治)
「で、明日の午後空いてんの」
「…へ?」
「だから、明日の午後」
「あ、うん…空いて、ます」
今日のテストがダメだったら補習だったはずの時間。
テストを無事にパス出来たのでその時間は晴れて自由だ。
さっきキスしたのが夢だったのかと思うほど普段通りの二口にはポカンとしてしまう。
「なら昼飯食いに行くぞ、部活午前中までだから」
「へ?」
「だから昼飯だよ、お前ホント一回で聞けよな…」
「だっ…だって!私と二口くんで…?」
「それ以外誰がいるんだよ」
それが信じられないんです。
私なんかと、二口くんが……?
赤い顔をして俯くの頭にポンと二口の大きな手が乗せられる。
「……?」
「信じられないってんならもう一回してやるけど?」
「…………!?!?だだだだだ大丈夫です…!行く、行きます、お昼!!」
さっきのキスの感触が甦る。
は誤魔化す様にガタッと椅子を鳴らして勢い良く立ち上がった。
「んじゃ、帰るぞ」
「……一緒に?」
「当たり前だろ、だって」
先に教室を出ようとした二口がくるりと振り返る。
鞄を肩に緩く掛けて、明るいブラウンの前髪を少し鬱陶しそうに掻き上げた。
そんな姿がとんでもなく格好良くて。
「夏休み、始まったばっかりだろ」
そう言って笑った顔がほら、もう頭から離れない。
(振り回されっぱなしだ………)
は再び熱を持った顔をパタパタと手で扇いでから二口の隣へと急いだ。
END.