第46章 真夏の方程式、答えは全て彼の手中に。(二口堅治)
夏休みに入って8月を目前にした7月の最終週。
その最後の3日間に行われる補習。
一学期の成績が思わしくない者がこの補習に該当する。
「はぁぁ………」
期末テストで大コケをしてしまったはまんまと該当してしまっているのだ。
教室には一人、時折ドアに目をやるも他に誰か来る気配もない。
「はぁぁ………」
もう一度大きな溜め息をついて机に突っ伏していると大きな音を立てながらドアが開く音がしては反射的に顔を上げた。
「辛気クセェ溜め息ついてんなよ、バカ」
「二口くん……?」
怪訝な顔をしながら教室に入ってきたのは男子バレー部新主将である二口堅治だった。
2年生の時も同じクラスだったけど、彼が補習になった所なんてみたことがない。
は不思議に思って口を開いた。
「二口くん…今回テストダメだったの?」
「はァ…?んなわけないだろ、俺はテスト受けられなかっただけデース」
「あ…そうだったね」
期末テスト初日を思い返す。
二口は母が急な入院になりテスト期間の3日間は全て欠席だった。
後から聞いた話、母子家庭の二口は母の看病でその3日間病院に通い詰めだったらしい。
幸いにも今は二口の母も退院したと言う話だった。
「で?お前は成績不良者ってワケだ」
「う………」
痛い所を突かれては口を真一文字に結ぶ。
それを見て二口は勝ち誇ったように笑った。
…………………
…………
……
「…であるから、ここは…こうだ。じゃあ今日はここまでな、明日のテストで60点以下の場合3日目も補習になるからそのつもりでいろよー」
「……はぁい…」
時間が来たところで告げられる現実。
は弱々しく返事をした。
補習中の先生の説明があまり理解できてない…!
二口が明日のテストでひどい点を取ることはきっとない。
このままじゃ自分一人だけ3日目も補習だ……!!
それだけは避けたい…。
こうなったら残って復習だ!と自分自身に気合いを入れ直す。
「…よし!やるしかない!」
「何をだよ」
「うひゃあぁぁっ!!?ふ、ふ、二口くん…!」
驚いて顔を上げるとすでに帰り支度を済ませた二口の姿。