第45章 僕たちのポートレート。【月島END】
烏野高校バレー部の全国への挑戦は四回戦で幕を下ろした。
三回戦では因縁、音駒との激闘をフルセットで制した烏野だった。
しかし全ての力を出し切ったその反動とも言える蓄積された疲労で四回戦はストレート敗けで終わった。
は、その全てをしっかりと見届けた。
四回戦が終わった後しばらく客席から立ち上がる気にもなれず、カメラに納めた写真たちをぼうっと眺めていた。
「……………」
本当は皆の所に今すぐに行きたい。
でも今の彼らに、どんな言葉を掛ければ良いのかわからない。
手元のカメラの写真がある一枚の写真で止まる。
彼の顔を見ていたら涙がじんわりと浮かんできてしまった。
「一本!ナイッサーッ!!!」
「いけーっ!!」
コートから聞こえる気合いの篭った声。
顔を上げればコートでは次の試合がもう始まっていた。
その無情さに、また涙が込み上げてくる。
(私が、泣くのは間違ってる……)
そうわかってはいても自分で止めることがどうしても出来なかった。
「何やってるの」
突然頭上から降りてきた声には驚いて振り返る。
そこには、先程まで手元のカメラで見つめていた月島の姿があった。
写真の彼とは別人かと思えるほど汗の一つも掻いていない。
「つき、しまくん………?」
「何、泣きすぎて僕の顔わかんなくなったの?」
「ちが……っ!」
「こんな所で一人で泣かないでよね」
「………ごめっ…」
やっぱり私が泣くのは変だと思われた。
だって戦ったのは月島くん達なんだから…。
慌てて目元を擦るの腕を月島が掴む。
「何か…勘違いしてると思うケド」
「え………?」
スッと差し出された彼の白く綺麗な手。
はほとんど反射的にその手を取った。
思っていたよりもずっと、温かいその手はの手を握って立ち上がらせる。
月島は側に置いてあったの荷物を反対の手で持つと、その場を離れた。
の手は、しっかりと握り締めたまま。