• テキストサイズ

High Q!!!(ハイキュー短編小説)

第41章 僕たちのポートレート。⑥


「!」
「あ、縁下くん……えっと、明けましておめでとうございます…!」
「おめでとうございます、俺も早く来たつもりだったんだけど…の方が早かったな」

一月二日、は縁下に誘われて近くの神社へ初詣に来ていた。
てっきり他の二年生バレー部員も一緒だと思っていたが、現れたのは縁下一人。
昨日の菅原との事もあり、は緊張でいつも以上に目が泳いでいた。

「ごめん、西谷たちもいた方が良かった?」
「う、ううん…っ!そんなこと…!」
「はは、ごめん、意地悪な質問だった(笑)」

そう言って笑顔を見せる縁下。
濃紺のピーコートに、落ち着いたチェックのマフラー、細身のベージュのパンツは縁下をいつもよりも大人っぽく感じさせた。

「御詣り、してこようか」
「あ…うん」

人混みから上手くを守るようにして先を歩く縁下の背中を見ては強く思う。


(……絶対、モテるんだろうなぁ…)


クラスでも縁下の人気はある。
キャアキャアと騒がれるモテ方ではなく胸で密かに想うタイプの方だ。

「?」
「………っ、」

急に振り返った縁下にの胸はドキリと音を立てる。

「………御詣りの後おみくじ引こうかって聞いてたんだけど…考え事してた?」
「ご、ごめん!!引く、引きます…!」
「そんな気合い入れなくても(笑)」


「あ……っ」

その時不意に人がにぶつかり、足元がふらついた。
その拍子に違う人にまたぶつかりそうになるが、縁下の手がの手を掴み難を逃れた。

「ごめん、気を抜いてた」
「え、縁下くんが謝ることじゃ…私がしっかりしてない、から…!」

ごめんね、と頭を下げるに縁下は優しく笑い掛ける。

「手…危ないし、しばらく繋いでていいかな?」
「………!」

そこで初めては自分の手と縁下の手が繋がれている事に気付いた。

自分よりも一回り大きな手。
助けてくれたこの手を振り払うことなんて出来ず、は顔を赤くして頷いた。

/ 270ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp