第5章 要するに彼女は俺を見てたって事になる件について。(影山飛雄)
「もう…全然伝わってないんだから…」
「???」
「乙女の遠回しの告白に気付かないなんて……屈んで」
「え?」
「いーから屈んで」
Tシャツを引っ張られ、促されるままに膝を曲げて目線を合わせた。
次の瞬間、言葉じゃ言い表せないくらいイイ匂いがして…頬に柔らかいものが触れた。
「!!?////////」
「…惚れさせるんじゃなくて、惚れ直させる…ね?」
柔らかいものの正体は姉ちゃんの唇。
「もう私はとっくに飛雄にメロメロなんだから///」
「な!えぇっ!?///」
そんなこんなで、10月。
俺たちは仙台市体育館にいる。
「飛雄ーっ!」
「////っ!?」
「…頑張ってね、ちゃんと観てるから」
「…あぁ///」
「じゃあ、客席にいるからね」
姉ちゃんは俺の頭をポンポンと撫でると一足先に体育館へと入っていった。
「か~げ~や~ま~ぁ~?!」
「!?」
背後に黒いオーラの先輩が二人。
めんどくさい二人にばれた…。
「誰だ!あの美女は!!彼女なのか?!そうなのか!?」
「…勝利の女神です、俺限定の」
「「なにィー!!?」」
「田中!西谷!静かにしろ!」
澤村さんに怒られてる先輩を横目に改めて決意を固める。
今日の試合にキッチリ勝って、そしたら今度は俺が公園に連れ出して…好きだって言おう。
END