第37章 僕たちのポートレート。②
土曜日までの間、は放課後は家に籠ってノートパソコンとずっと顔を突き合わせていた。
撮った写真を一枚一枚確認しては小さな笑みが溢れる。
その時見ていたのは東峰の写真だった。
(東峰先輩のこのサーブ、確か綺麗に西谷くんに拾われちゃって…先輩、落ち込んでたっけ)
プリンターをノートパソコンに繋いで、この数日の写真をプリントしていく。
まだたった数日だと言うのにとても濃い数日に思えた。
一人で撮っていた時とは違う。
人と接するとは、こういうことなんだ、
疲れるけれど、これは心地良い疲れだ。
でも。
「はぁ………」
ノートパソコンをパタンと閉めては溜め息をついた。
土曜日の勉強会、自分を変えたくて行くと言ってしまったけれど自分は本当に大丈夫だろうか。
そもそも男の子の家にお邪魔することだって初めてなのだ。
「て、手土産は何が定番なんだろう……?」
同じ頃、縁下も悩んでいた。
(勢いで誘っちゃったけど…いきなりハードル高かったかな…)
「サーブ練始めるぞ!」
「「「ウース!!」」」
とりあえず、田中と西谷には土曜日も参加する事は伏せている。
事前に知れたらきっと大騒ぎをするだろうから。
縁下は頭を切り替えてサーブに集中した。
そして、土曜日。
来週からは合宿組の三人も戻ってくる。
新しい面子と顔を合わせる緊張の前ににとって試練の勉強会の日がやってくる。
坂ノ下商店の前で一人佇むの手にはドーナッツの入った紙袋がある。
迷いに迷って決めたドーナッツだったが、未だに手土産はこれで良かったのかと不安なままだ。
数もどうしたらいいかわからず、気付けば30個も買っていた。
「はぁ………」
そもそも私が行って良いのだろうか。
縁下くんが誘ってくれただけで他の人たちには迷惑なのではないだろうか?
待っている間に色んな不安がどんどん沸き上がってきてしまう。
「さーん!」
「!」
そうこうしている間に学校への道から縁下の声が聞こえる。