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High Q!!!(ハイキュー短編小説)

第1章 世界は実は5分前に始まったのかもしれない。(澤村大地)


もしかしたら会えるかも知れない。
体育の後、体育館に忘れたタオル。それを今取りに行けば憧れて止まないあの人に。

急いで走って体育館に向かう。
扉に手をかける前に前髪を少しいじる。

「はぁ……よし…」

息を整えて静かに扉を開ける。

「失礼します……っ!?」

「危ない!!」

うつむき加減で入ったのが悪かったのかも知れない。
全く前を見ていなかった私に勢いに乗ったボールが直撃した。

澤村先輩…痛みよりも恥ずかしさで死にそうです…。

「おいっ!しっかり!」

遠くで大好きな人の声が聞こえたけど、可愛く笑う余裕なんてなくて…私はそのまま意識を手放した。


「スガ!ちょっと保健室行ってくる!」

「あぁ…その子大丈夫?」

「ん…後のメニュー任せて良いか?」

「おぉ」


心地良い揺れがする。
なんだろう。ふわふわして気持ちいい。

それに凄く温かい。

「んんっ…」

「お、気が付いたか?」

ゆっくりと目を開けてみると澤村先輩の顔が間近にあって驚いてしまう。
これはっ!一体…って抱っこされている?!

「さわっ…澤村先輩…!私…!」

「ん?あぁ、俺がボールぶつけちゃって…覚えてない?今保健室に向かってるよ」

「だだだ大丈夫です!!もう私!歩けますし…!」

「コラ、暴れると落ちるって!しっかり掴まってて」

「…///////」

憧れている先輩と話しているだけならまだしも、この姫抱き状態は心臓に悪い。

「ほら、手離しちゃ駄目だって」

「はっ…はい!!」

先輩に言われて咄嗟に首に抱き着くように手を回す。


「…//えと、…ちゃん?」

「は、はい!」

「それだと、その…俺も男だしさ…はは//」

「!!////すすすすみません!」

身体を押し付けていた事に気付く。
先輩の顔がが少し赤くなってるのを見てまた恥ずかしさが込み上げてくる。

あれ…?澤村先輩、どうして私の名前…?

「保健室着いたよ…でも先生居ないのか」

私をベッドに下ろすと先輩はもう一度廊下を見に行き、先生が居るか探していた。

「あの…澤村先輩はもう体育館に戻ってください!練習の邪魔してしまって本当にごめんなさい…私は一人で大丈夫ですので!」

「いいから、大人しくしてな」

「でも…!」

先輩は水道の方へ向かうとタオルを冷やして持ってきてくれた。



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