第31章 その顔を知っているのは俺だけでいい。(弧爪研磨)
ここで初めて弧爪が黒尾に視線を向ける。
スマホからは勝利を伝えるBGMが流れていた。
「それよりクロ…いいの?時間…」
「は?…うわッ、ヤッベ!行くわ!!」
部屋の時計を確認すると黒尾がここに来てから30分が経とうとしていた。
待ち合わせに遅れると慌てながら黒尾は部屋を出ていった。
「なんだったの、クロ」
「さぁ…おおかた涼みに来ただけでしょ」
「ふぅん…あ、すごい研磨!ついにソイツ倒したんだ」
の興味が黒尾から弧爪のスマホの中で倒された敵キャラへと移る。
ベッドの上に座っている弧爪の隣に行きスマホを一緒に覗き込んだ。
「すごー、どうやって攻略したの?」
「……キスする?」
「へぇ、キス……って、え??」
「だから、キス」
スマホを覗いていた顔をあげるとバレーをしてる時のような真剣な弧爪の顔があった。
いつもはボーっとゲームに夢中になっているのに、バレーをする時とに欲情してる時に男の顔を見せる。
「え、と…///」
その顔がは堪らなく好きだった。
ちゅ。
の返事を待たずに重なる唇。
一瞬体が強張ったものの、すぐに力が抜け弧爪に合わせるように唇を寄せた。
「ん……」
「、顔見せて」
「か、お…?」
ひとしきり舌を絡ませて唇の柔らかさを堪能した後、弧爪はの顔を見る。
トロンと目を潤ませて、頬も赤く上気した顔。
(クロの新しい彼女がどれだけエロいか知らないけど……)
「が一番、エロい」
「んっ…けん、ま…///」
顔を再び寄せて今度はカプリと首を甘噛みする。
ベッドに二つの体が沈む。
「ライフ全快するまで…」
「…うん」
こんなトロトロな顔は自分だけが知ってればいい。
キスもその先の話も誰にも話してない。
話せばきっと脳内で想像するだろうから。
(そんなの、例えクロだってダメ…)
全部全部、自分だけのモノ。
END