第28章 一学期に見つからなかった答えは二学期にある。(山口忠)
バレー漬けだった夏休みを終え、今日から二学期。
部活をしに毎日のように学校へは来ていたからこれといってドキドキするとか、ソワソワするみたいなモノはなかった。
あるとすれば、一つだけ。
「おはよう、山口くん」
「お、おはよう!さん…!」
一学期の終わり頃から気になり出した彼女の存在。
その時は好きなのかって聞かれてもよくわからなかった。
でも
(あ…少しだけ髪切ったのかな……?)
ふわりと風が吹いて、窓のカーテンと一緒にさんの髪も靡いた。
手で軽く押さえながら視線を俺に向ける。
「今日から隣の席だね、よろしくね」
「あ、うん!よろしく…」
「今日も朝練あったんでしょう?毎日すごいね、今年のバレー部頑張ってるもんね」
「うん…そ、そうなんだ」
折角さんが話を振ってくれてるのに上手く返せない。
あぁ…!俺のバカ…!
「山口くん、少し背が伸びた?」
「え…?あ、いや…うん、そう…だといいんだけど」
目が合って、心臓が跳ねた。
さんて、こんなに綺麗だったっけ?
こんなにキラキラして見えたっけ?
この夏、どんな風に過ごしたんだろう。
俺はバレーばっかりしていたけど、彼女はどんな休みだったんだろう?
恋とか、そーゆーのしてるんだろうか。
「山口くん?」
「………」
「おーい、山口くーん?」
「…さんはなんか綺麗になったね」
「………えっ?!」
「…………えっ?」
俺は今なんて………。
サラッと出てしまった言葉に慌ててさんの顔を見ると真っ赤な顔で目を丸くして俺を見ていた。