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High Q!!!(ハイキュー短編小説)

第25章 誰にも渡したくないって気持ちは好きって事。(影山飛雄)



「………」

「………?」

背を向けたまま黙り込んでいる影山を見つめも考えていた。

何故此処に連れて来られたのか?
そもそも影山は怒っているのだろうか?
だとしたらその原因は何なのだろうか?

影山の背中を幾ら見つめても答えは出なかった。



「つ…月島と!付き合うのか…?」

「え?」


沈黙を破ったのは影山。
くるりと振り返った影山は眉間に皺を寄せ、地面を睨んでいた。


「だから!月島と…!」

そこまで言葉にすると影山は唇を噛み締めた。

「月島と付き合う」なんて何度も言葉にしたくなかった。
さっきまで「彼女なんて必要ない」と豪語していた自分は何処へ行ったのだろう。

バレーに専念したい気持ちも本当。
でもが誰かと、月島と付き合うのが嫌だと感じたのも本当。


(ただのワガママじゃねーか…)


一人のマネージャーだと思っていたのにいざ誰かの物になってしまうと考えたら心がそれを嫌がった。



「月島くんとは…付き合わないよ」

「…!」

「私、は…好きな人いるから…」

「!!!」


安心したのも束の間、の好きな人いる発言に影山の心臓はまた早くなる。
掌にもじんわりと汗が滲む。


「ダ…ダメだ!」


これじゃただの駄々っ子だ。
ハッとしての顔を見て影山は更に焦る。
困ったように俯いているその目には少し涙が溜まっていた。



「…だって影山、くんは彼女いらないでしょう……?私が勝手に好きなだけだから…それだけ、許して…許して下さい…」


好きな気持ちまで否定されたらさすがに辛い。
必死に堪えてもポロポロと涙は溢れてしまった。


「…!!」


の言葉は影山の心にゆっくりと染み渡った。

あぁ、そうか。
俺のワガママの答えはこれだったのか。

今まで掛かっていた靄が晴れていく。

今度は優しく手首を引き影山はそのまま腕の中にを納める。


「俺も、好きだ」

「……!!」


耳元で囁かれたその低い声はの頭に響いた。



誰にも渡したくないって気持ちは要するに好きって事でしょう?

「そんな事も解らないんだから困るよね」

「ツッキーカッコいい!」

明日の朝、影山がどんな顔をするか月島は楽しみで仕方ない。








END.
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