第21章 髪の毛を切りました。(ALLキャラショートストーリー)
Keiji Akaashi.
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くるり、くるり。
あぁ、ホラまただ。
月曜日の早朝、朝練に向かう道の途中。
十字路を曲がった所でいつもの二人に会う。
早朝だろうがお構いなしにテンションの高い木兎さんとその彼女でありマネージャーでもあるさん。
「おう!あかーし!!」
「おはよう赤葦君」
「…はよーございます」
いつもの朝の感じ。
一つだけ違うとしたらさんが髪を少し切ったと言うこと。
くるり、くるり。
仕切りに毛先を弄るその顔を見てすぐに分かった。
木兎さんはまだこのさんの変化に気付いていないのだ。
気付いて欲しくてあぁやって毛先を弄ってるのに隣を歩く木兎さんは呑気に笑っている、俺は小さく溜め息をついた。
「さん…」
「?なぁに?赤葦君」
「………あ、いえ肩にゴミがついてたので」
「やだ、ホント?ありがとう」
「いえ」
そっと彼女の肩に手を伸ばしゴミを払う、フリをした。
本当はゴミなんて付いていない。
「髪切ったんですね」の一言を言おうとして飲み込んだ。
きっと彼女は俺に気付いて欲しいんじゃなくて。
「木兎さん、さん髪切ったこと気付いてます?」
「えっ?!」
コッソリと呑気に笑っていたエースに耳打ちする。
ほら、やっぱりね。
気付いていなかった。
「木兎さんに言われるの、待ってると思いますよ」
「マジで?!」
驚きながらも急いで彼女の元へ向かう木兎さんの後ろ姿を見守る。
その一分後、照れたような喜んでいるようなそんな笑顔が彼女から溢れだした。
あの顔は俺じゃきっと引き出せない。
でもさんの変化に一番に気付いたって言う優越感にしばらく浸っていられそうだ。
「あかーし!!置いてくぞー!」
「はいはい、行きますよ」
もどかしいこの距離が、心地いい。
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