第20章 恋に下心があるなんて決まりきった事なんだ。(澤村大地)
小さな部屋に二人きり。部屋には入浴前に敷いた布団が一組。
澤村に気を遣わせてしまった申し訳なさとこんなシチュエーションで二人きりと言う緊張では軽く目眩がしていた。
「他の奴には内緒な?と二人で部屋にいるなんて知れたら絶対大騒ぎになるから」
「……大地先輩は、どうして一緒にいてくれるんですか?」
「ん?」
本当はそんな事怖くて聞きたくないのだけれど、今聞かなかったら次はないような気がしていた。
「うーん…不安がってる後輩を放っておけないってのと」
「………」(後輩…)
当たり前の事実なのにその言葉はの心にグサリと突き刺さる。
「後は…下心も、あったり…する//」
「……?」
思いがけない澤村の言葉には不思議そうな顔をして澤村を見つめる。
そんなの頭を澤村は優しく撫でた。
「…意味、わからない?//」
の視線の先にいる澤村はいつもの凛々しい顔とは違う、とても柔らかい顔をしていた。
頭を撫でる大きな手がとても心地良い。
その手が今度はの頬に添えられ二人の距離がグッと近付く。
「せ、んぱい…///」
そしてそのままの視界には澤村でいっぱいになる。
自分とは違う体温が唇に触れて、ゆっくりと音もなく離れた。
「俺、が好きだ…って順番が逆だよな…//」
「私も、大地先輩が大好きです…!」
再び二人の唇が重なり、互いに幸せを噛み締めていた。
その頃菅原はと言うと、
(合宿終わったら大地に肉まん5個くらい奢って貰わないとなぁ♪)
見回りを終えて部屋に戻った菅原は一人でニヤニヤと今後の事を考えていた。
END