第4章 【イナズマイレブン】 アフロディ
照美「優奈、どうして病室のなか、入って来てくれなかったの?」
照美の目はいつも真っ直ぐで、反らせない。
「別に……特に理由は……」
嘘。
本当は、会いにくいって自分で決めつけてただけ。
照美に会ったときに感じる罪悪感から逃れたかっただけ。
照美「クスッ。優奈ってば、本当に嘘が下手だね。」
な、何でバレてるの……?
照美「本当の理由は、まぁ、だいたい想像つくよ。僕の怪我、自分のせいだって思っているんでしょ? でもね、違うよ。優奈のせいじゃない。だから、そんな泣きそうな顔しないで?」
「……っ」
泣かないって決めてたのに。
照美の前では、泣かないって、決めてたのに。
……ポロ……ポロ……
次から次へと溢れて来る涙。
どうすることもできない。
照美の隣で、照美の顔をみながら泣いてる自分。
照美の瞳に目を向けると、涙でぐしゃぐしゃになった私の顔。
きゅっ……とんっ
「っ⁈」
今、私、照美に……
照美「優奈、ごめんね、泣かせて。僕は、彼氏失格だね。」
「や、やだっ‼︎ そんなこと言わないで‼︎ 私の方こそ、照美に無理させて、止められなくて、こんな大怪我までさせて、彼女……失格だよ……っ」
照美の腕の中で、聞いた言葉に、つい大来な声で反論した。
照美「もう一度言うけど、これは優奈のせいじゃない。だから、これについては責任を負わないで。優奈のせいじゃないから。」
「てる、み……っ……っグズッ」
照美「優奈。大好き。僕のために、こんなに泣いてくれてありがとう。でも、そろそろ泣き止んでくれないかな……? 僕は、笑顔の優奈が好きだよ。」
ずるい。こんなときばっかり……っ
照美「泣き止まないんだったら……」
チュッ
「⁈」
照美「キス、しちゃうよ?」
「ぁ、ちょ……っ」
キスしちゃうよ……って、もうしてるじゃない‼︎
照美「クスクスッ。慌ててる優奈も可愛いね、本当。」