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短編夢

第12章 【夏目友人帳】 夏目貴志


「それにしても、どうして俺だったんだ?」

2人きりになり、沈黙が訪れた。その静けさに耐えられなくて、思わず口を開く。

「……夏目くん、いっつも、優しいから……」

小声で、けれどしっかりと、彼女の口から声に出された言葉。

「優しい……かな」

「うん。他のクラスの子達も、噂してた。夏目くんって、優しいしかっこいいし、彼氏にできたら素敵だよねって」

ガタンッ

「っ! 夏目くん、大丈夫……?」

彼女の言葉に驚いて、思わず後ろに仰け反ったら、そこには掃除後まだ、机の上から降ろされていない椅子。

椅子を思いっきり倒した。

「だ、大丈夫……急に変なこと言うから、驚いて……」

「ご、ごめんね……でも、変なことじゃないと思うよ。私も、そう思うから……」

だからちょっと、気になるんだ……と、ボソボソと呟いた彼女の言葉に首をかしげる。

「夏目くん、誰かとおつきあいしちゃうかもって……」

「え」

「私、なんとなくモヤモヤするから……」

ちょっと待ってくれ、西嶋さん。俺が、誰かと付き合う……?

ないないないない

「西嶋さん、あの、俺別に誰かと付き合ったりしないと思うよ。そもそも、そんな、俺が優しいとか、かっこいいとか……何かの間違えだと思うけど……」

「そんなことないもの。本当だもの。」

「だからね、夏目くんとお祭り行きたかったの。そうしたら少しだけ……他の子達よりも仲良くなれるかもしれないから……」

この子は……天然なのだろうか……。

それは、遠回しに告白をしているようなものだが……。

「だだいまー、田沼くんも連れてきたよ!」

「夏祭り、行くんだってな?」

なんというタイミング……さすが2人だ。俺がなんて声を掛けようか迷っているこのタイミングで帰ってくるなんて……

「あぁ、そうなんだ。西嶋さん、行ったことないって」

「へぇ……なら、楽しめるといいよな」

「そうよね!」

「あぁ、今からすごく、楽しみだな」

3人で西嶋さんに視線を向けると、嬉しそうに頷いてくれた。

今日を境に、西嶋さんが俺たちと一緒にいるようになり、今後もよく出かけるようになるのは、少し先の話だ。


END
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