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短編夢

第10章 【名探偵コナン】 安室透


私の住んでいるマンションに着くと、すぐに夕飯の支度を始める。帰りに、スーパーに寄ってもらって、夕食も家で一緒に食べることになった。


2人でキッチンに立って、一緒に作ったけれど……零さん、私より料理上手なんじゃない? 彼氏に料理負けるって……でも零さんだから仕方ないか……。


そう思いたくなるくらい、手際は良かったし、味付けも絶妙だった。ちょっと悔しい。


ご飯を終えて、机の上には、旅行誌をたくさん広げる。何冊もあるのに、どの旅行誌も付箋だらけだったから、こんなにあったっけ、なんて思ってしまう。


「優奈、いろいろ探していたんだな。たくさん付箋貼ってある」


「うん……でも、こんなにあったっけ、って自分でも驚いてる。普段は、1冊ずつじっくり見てるから、そんなに貼ってるつもりなかったんだけどな……」


「そっか。とりあえず、日帰りの距離に絞られるけど、どこに行きたい?」


「うーん……たくさんありすぎて……」


透さんは? と聞きながら顔を上げると、少し顔を顰めた零さんがいた。


「今は、零って呼んで」


「あ……」


私の家では、零さんって、呼んでいいの?


プライベートでだって、殆ど呼べない、彼の本当の名前。ずっと呼びたくて、口に出したくて、仕方がなかった、私の大好きな名前。


考えてみれば、徹さんの敬語も無くなっていた。


「今、俺は安室透じゃない。降谷零だ。」


「零……さん……」


真剣な零さんの瞳に見つめられて、恥ずかしくなり、小さく、呟くように名前を呼ぶ。すると彼は、優しく笑いかけて、私の髪を、くしゃっと撫でた。その行為が、とても久しぶりで、優しくて、心地よくて、私の顔も、思わず緩んでしまう。
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