第3章 俺色に染まれ ……原田 左之助
原田
『あ、嫌……違わねぇよ。戯れ言だと思って、聞き流してくれればいい。』
『無理です。』
原田
『えっ?無理って……。』
『先生が話す言葉、聞き流せるはずないです。入学式の日からずっと。』
このときの、の笑顔は今までの中で一番綺麗だった。
原田
『入学式?』
『私、女の子の友達がいなくて……どうしてか嫉妬の対象にしかされたことがなかったんです。でも、原田先生が私に友達をくれました。』
確かに、考えるより先に行動してみろとは言ったが……。
原田
『きっかけは作ったかもしれねぇが、後はお前の頑張り次第だろ。』
『でも、あの言葉がなければ今でも私は一人だったと思います。先生は分け隔てなく誰にも優しくて……だから私……。』
原田
『先に俺に言わせろ。俺はお前が好きだ。』
アイツの切れ長の瞳が見開かれた。
原田
『好きなヤツがいるって聞いたから見守るつもりだった。でも、無理だ……。』
『じゃぁ、ずっと傍で見てて下さい。他の誰のものにもなりたくないから……だから、私をっ!!』
俺は無理矢理、の唇を奪った。
原田
『今から、は俺の女だ。』
半年前のあの時、俺は言った。【間に合っているからな】と……。だから、俺には恋人がいると思い込んだようだ。
随分遠回りしたが、結果はハッピーエンドで終わったから結果オーライだよな。
その笑顔で俺の心を掴んでいろ。俺もお前が俺色に染まるように、にたっぷりの愛情を注いでやるから。