第1章 鈴の音……沖田 総司
夏休みに入る前。その誘いは突然に持ち掛けられた。
提案者は僕の彼女の新しく出来た友達。
引っ越してきたばかりで、普段から面倒見のいい彼女が世話をやくようになったのが、そもそもの始まりだった。
色素の無いような白い肌をしていて、漆黒の長い髪の女の子だ。
最初は、控え目に僕たちの後をくっついてくる……そんな感じだった。そんな女の子が、彼女を別荘に招待したいと言ってきた。
そして……彼女が僕にも声をかけてきて、同伴することになった。
あの時のこと、ちゃんと覚えている。僕を誘った時のあの子の冷たい表情。
何故か、彼女を一人にしてはいけない……そう思わせるものだった。
用心する僕に反して、彼女は天真爛漫だ。純粋にお呼ばれを楽しみにしている。
友達のことを悪く言いたくはないが、用心に越したことはない。
僕の大切なたった一人の彼女なんだ。だから、誰にも悲しませたりして欲しくない。
どんなことがこの先待っているか分からないけど、僕が守ってあげる。どんなことになっても。
ただ、1つだけ……なるべく僕から離れないようにと何度も念をおす。
彼女は僕の言葉の意味を理解していないようだったけど、理解されなくてもいい。ただ、僕の言う通りにしてくれれば。
【約束】そう言って、彼女の小指と僕の小指を絡ませる。子供じみたことだけど、彼女はこんな出来事が好きだったりする。
だから……更に、念をおす為の行動なんだ。
帰り際、彼女をギュッと抱き締める。彼女も僕の背中に腕を回す。
甘くて優しい瞬間。彼女の髪の匂いと彼女の体温を体に刻み付ける。
沖田
『じゃぁ、また明日ね。』
『はい。あ、そうだ。これを……。』