第12章 譲らない!
(可愛い……)
「もう少し近かったらキスしてたかもしれないね?」
国見は少し意地悪く笑う。
「えっ!?……国見くん、変な想像しないでよ。きっ……キスだなんて。」
「澤村さんはキスしたこと無いの?」
「……無い……あるわけないでしょ。」
(…及川さんともしてなかったんだ。)
「良かった……まぁ俺もキスしたこと無いんだけどね。はいっ、髪の毛少しは乾いたよ。帰ろっか。」
(良かった?……私がキスしてなくて良かったって事?)
葵は国見が言った事に疑問に思い暫く無言になっていた。
国見は反応の無い葵を心配し
「どうしたの?まだ帰らないの?」
顔を覗き込んだ。
「ご、ごめん。帰るよ!乾かしてくれてありがとう。」
葵はそう言って立ち上がった。