第12章 譲らない!
及川が居なくなり
国見はホッとした様子で
(……良かった……)
「澤村さん、座って?髪乾かすから。」
と言った。
「………国見くん、及川さんと何かあった?」
葵は二人に思われているとも知らない為いつもと違った二人に不思議に思った。
「何でも無いよ。」
国見は壁に寄りかかりながら座りそのまま葵を引き寄せた。
国見が葵を抱っこしている状態になった。
「くっ、国見くん!自分で乾かすから!大丈夫だよ!?」
葵は焦りながら国見に訴えた。
国見は髪を乾かしながら
「ダメ。俺にやらせてよ。きちんと乾かさないと風邪引いちゃうよ。」
と言う。
顔が近いせいか葵の耳に国見の息がかかる。
葵はドキドキしながら髪が乾くのを待っていた。