第25章 大地への気持ち
大地に頬にキスされた葵は
「お兄ちゃん!?」
ビックリするばかりだった。
「ごめん……国見に妬けた……」
大地はそう言って葵の顔を自分の胸に埋めさせた。
大地は葵を抱きしめ
「俺は……葵にしてあげられる事はもう何も無いのかもな……」
独り言の様にポツリと言った。
「……そんな事ー」
「はい、甘えるのこれで終わり!」
葵の声は大地の声でかき消され
大地は葵を離し立ち上がった。
「夕飯まだなんだろ?早く来ないと
葵のおかず食べちまうからなっ」
大地はまたいつもの表情に戻り部屋を出ていった。
(お兄ちゃんも……あの時と私の気持ち一緒だったのかな……そうじゃなきゃ…国見くんに妬いたり、あんな切ない表情しないよ……
もう…私はお兄ちゃんに本当に甘えてはいけない……お兄ちゃんも私から離れていこうとしてる……離れて行くのを止めてはいけない……)
葵は大地の葵に対する気持ちに気付いてしまい、そして自らも大地から
離れようと思っていた。