• テキストサイズ

プロポーズされてみませんか? 【短編集】

第13章 待ち伏せ 【烏養繋心】



烏養side
「田中ぁぁ!何よそ見してんだぁ!ボール見ろ!日向ぁぁ!!ちゃんと腕でボールをとらえろって何回も言っただろうが!!」
清水の方を見てニヤニヤしている田中、顔面でボールをレシーブした日向にそれぞれ怒号を飛ばす。あいつら、アホだな。
「おおー。やってんなぁ」
体育館の入り口から声がしてその方を見ると、見覚えのある顔が見えた。
「瀬良さん!?」
「お!烏養!久しぶりだな!」
瀬良修一さん。希美先輩の幼馴染みで、先輩が社長をやってる会社の副社長。結構キレ者。
「どーしたんすか?」
「よろしくやってるか見に来たんだよ。それとお前に会いに来た」
そう言って瀬良さんが俺を指差す。
「俺?」
「そう。お前に知らせとこうと思ってな」

ちょっと来いと言われ、体育館の外へ出た。
「あいつが日本に戻ってくるぞ」
「あいつって…先輩ですか?」
「ああ。二週間後に帰国する予定だ」
「……なんでそれを俺に教えてくれるんすか?瀬良さんだって」
「お前なんだよ」
瀬良さんが俺に被せるように言った。
「お前なんだよ。あいつの横に立てるのは。俺じゃなくてお前」
そう言った瀬良さんの顔は切なげで俺は何も言えなくなった。
「だから、あいつの事よろしくな!」
俺の肩をポンと叩き、瀬良さんは帰って行った。
瀬良さんじゃなくて俺?それって………。
「烏養さん!レシーブ練終わりました!」
縁下の声でハッとする。
「ああ、今行く」

「ええ!希美さん帰って来るんですか!?」
練習が終わり、久しぶりに武田先生と飲みに行った。そこで先輩が帰ってくることを先生に話した。
「そうなんだよ。瀬良さんが教えてくれたんだ」
俺が言うと、先生は少し目を丸くした。
「瀬良さんが?」
先生はそう言ってから笑った。優しく。
「そうですか。烏養くん、頑張って下さいね」
「??何を?」
「瀬良さんが何故、希美さんが帰ってくることを烏養くんに言ったか、その意味を考えてください。じゃないと、瀬良さんが可哀想です」
言い終えて先生は口に酒を運ぶ。
/ 71ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp