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プロポーズされてみませんか? 【短編集】

第12章 幸せ 【岩泉一】


岩泉side
「ゴラァ!!及川ー!!またオーバーワークだ!」
「ギャア!!!」
及川に叫びながらドロップキックをお見舞いする。的確にヒット。及川は俺の足が当たった場所を押さえながら必死に痛みに耐えている。
「ヒドイよ!なんだってそう毎回蹴ってくるのさ!」
「お前が言っただけじゃやめないからだ!」
そう言って及川の頭をポカッと殴る。
希美と再開したあの日から数年、俺は専門学校を卒業し無事にトレーナーになり、及川はプロになり、希美は今もバリバリ社長として働いている。
「ねぇ、岩ちゃん」
「あ?なんだよ」
及川のふくらはぎをマッサージしながら、及川に返事をする。
「希美さんとは上手くいってる?」
及川の言葉に少しドキリとして、思わず力を込めてしまった。
「い”!?い、岩ちゃん!?痛いよ!」
「ああ、悪りぃ。けど、お前が変なこと聞いたからだろ」
「え!?俺のせいなのね? まぁなんでもいいや。ほらさっきの質問の答えは?」
「なんでお前にそんなこと言わなきゃいけねぇんだよ」
「えー、別にいいじゃんか。やっぱり昔好きだった人の事は気になるよ」
「…最近、お互い忙しくてなかなか会えてない」
「え!?そうなの?わー、希美さんかわいそー」
「黙ってろ!」
グッと力を強くして及川のふくらはぎを揉む。
「いたたたた!!!!岩ちゃんヒドイ!」
及川が手をバタバタさせて叫ぶ。
「テメェのせいだろうが」
「…ちゃんと、時間見つけて会いなよ?」
「…おう」
「頑張れ」
こういうとき、及川のことをズルいと思う。飄々としてるように見えてもしっかりと周りを見ることが出来る。そんな及川だから、俺らは着いて行ったんだけど。


「ただいま」
玄関を開けると、うっすらと明かりが見える。帰ってきてるのか。
廊下を進んでリビングのドアを開けると希美がソファでうたた寝をしていた。頭が一定のリズムで上下している。
「おい、風邪引くぞ」
そっと肩に手をおいて体をゆっくりと揺する。
「…ん?あ、一。お帰り」
希美は眠そうに目をこすりながら言った。
「ただいま。飯は食ったか?」
「外で食べてきた」
「またかよ。今度は家で食べろよ。外食ばっかだと太るぞ」
「それは嫌だな」
希美はそう言いながら立ち上がり、キッチンの方へ歩いて行った。
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