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プロポーズされてみませんか? 【短編集】

第6章 サプライズ 【緑間真太郎】


「そうなのだよ。ある程度の事は決めているのだが、サプライズにしたくてな。お前に協力して欲しいのだよ」
「いいよ!俺でよかったら全力で協力する」
「そうか。礼を言うのだよ」
俺が礼を言うと、高尾はニッと笑った。
それから色々と打ち合わせをしてお開きとなった。


「ただいま」
家に着いたのは日付が変わろうとしている時だった。部屋の電気がついている。リビングに入ると、ソファで春乃が寝ていた。
「待っていてくれたのか」
春乃を抱き上げてベッドへ運ぶ。
「しん……ちゃん…」
寝言で俺の名前を呼ぶ春乃の髪をそっと撫でる。

春乃と出会ったのは大学の時だった。春乃は薬理学で俺は医学。そんな事あるのかと思う出会い方だった。廊下の角でぶつかったのが出会いだった。お互いに急いでいて注意が足りず、ぶつかった。案の定、手に持っていた物が床に散らばり、それをそれぞれ拾う。教室に着いて、持ち物を確認すると一つ俺のじゃないのが混じっている事に気がついた。そのノートには咲坂 春乃と書かれていた。その名前に何故か惹かれ、ノートを届けに行った後、柄にもなくこれも何かの縁だと言って連絡先を交換し、何度か会ううちに好きになり、大学の中庭で想いを告げ、今に至る。
付き合い始めてからも、月に一度はデートに行ったし、毎年の記念日も忘れた事はない。これほど人事を尽くしたのだ、もうそろそろいいだろう、そう思い、プロポーズを決意した。プロポーズにも人事を尽くしていくのだよ。


朝起きてみると今日は春乃の方が早く起きたらしく、キッチンの方から料理をする音が聞こえる。
ベッドから体を起こし、布団を綺麗にしてからリビングに行った。
「あ、おはよう!ご飯もう少しで出来るから待っててね」
「ああ」
椅子に座り、テレビをつけて毎朝の日課であるおは朝を見る。
「第12位は……ごめんなさい蟹座のあなた。大切にしている物が水に濡れるかも!?ラッキーアイテムは高校の部活で使っていた物。ラッキーナンバーは12です」
テレビから流れる最悪の結果。これは人事を尽くさねばならんな。高校の部活で使っていたものか………。バスケットボールは持つには少し大きいからバッシュにしよう。俺は自室へ行き、クローゼットの中からバッシュを出し、持っていく。
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