第5章 好きな人
「やぁ、おはよう奈々ちゃん」
「ん…おはよう、ございます…」
ぐっすりと眠っていたがやがて朝になり奈々が目を覚ますと真っ先に笑みを浮かべ自分を見つめている臨也の姿が目に入り奈々は寝ぼけながらボーっと見つめ返していた
「昨日は奈々ちゃん、可愛かったよ」
「昨日…っ」
寝ぼけている様子の奈々を見てニヤニヤと楽しそうにそう言うと、臨也の言葉に徐々に昨晩のことを思い出し奈々はみるみる顔を真っ赤に染めた
「奈々ちゃん、淫乱だよねぇ
初めてであんな風になるなんて」
「ちがっ…あれは、媚薬なんて臨也さんが飲ませるから…!」
「媚薬の効果だけじゃないと思うけどねぇ
後処理も大変だったんだよ?」
「っ…」
言葉に詰まった奈々を見ると満足そうにし、ふと思い出したように奈々の携帯を取り出すと奈々に手渡した
「あぁ、そうだ…ほら、シズちゃんから何度も電話来てるし
動けるなら帰った方がいいんじゃないかな
君が大好きなシズちゃんも心配してるよ」
「本当だ…早く帰らないと」
ある一定の時間、臨也が電話に出た時間から何度もかかってきていた電話が不自然な程にぴたりと止んでいることに奈々は気付く様子もなく、兄に心配をかけてしまったと腰の痛みを感じながらも慌てて起き上がった
しかし自分が全裸でいることに気付き慌ててかかっていた布団を掴み体を隠した
「わっ…」
「君が着てきた服ならそこに置いてあるけど
下着だけは君が汚しちゃったし、俺のを貸すわけにもいかないから
奈々ちゃんにはノーパンで帰ってもらうことになるけど、変態な奈々ちゃんなら大丈夫だよね?」
「そんなっ…い、臨也さんのでいいから貸してください…!」
「あははっ、貸してあげてもよかったんだけどねぇ
そんな言い方するならダメだね」
「ほら、俺は部屋から出ていってあげるから早く着替えな」
昨晩散々奈々の裸体は隅々まで見たものの恥ずかしがっている奈々を見るとそう言って相手の言葉も待たずにスタスタと臨也は部屋を出て行った