第4章 オモチャ
「やぁ、奈々ちゃんいらっしゃい」
昨日臨也さんから言われた通り学校帰りに新宿のオフィスへと行くとインターホンを押す前に扉が開き、爽やかな笑みを浮かべた相手に迎え入れられた
「あの、お兄ちゃんのことで話って何ですか?」
「まあまあ、とりあえず入って入って」
そう言うとすたすたと中へと入っていってしまったため慌てて後を追いかけた
「そこ、座りなよ」
「は、はい…」
中へと入り綺麗な部屋に思わずキョロキョロとしていると臨也さんに声をかけられ、いかにも高そうなソファへと少し遠慮気味に座った
すでに用意してあったのかココアをテーブルへと置いた
「奈々ちゃんココア好きだよね?
このココア美味しいんだよ」
「ありがとうございます…
あの、お兄ちゃんのことで話しって…」
相手に用意してもらったココアを一口飲むと部屋に二人きりという緊張感に耐えられず早く聞いて帰ってしまおうと兄の話しを切り出した
「あぁ…これなんだけど…」
『んっ…ふぁぁ…お兄ちゃんっ…』
カチっという音の後にパソコンから流れてくる喘ぎ声に一瞬何か分からずきょとんとするもお兄ちゃん、と兄を呼ぶ声に自分のものだと認めざるを得なくなってしまい、顔から一気に血の気が引いていくのを感じながら顔を上げると楽しそうに笑みを浮かべている臨也さんと目が合った
どうして、なんで、と思いながら誰か別の人の物であって欲しいと必死に願い、震える声で尋ねた
「こ、これって…」
「君の喘ぎ声だよ」
私の願いを切り捨てるように即座に答えた相手に私は絶望を隠しきれなかった
「あははっ、君がシズちゃんのことが大好きでブラコンだってことは知ってたけど
まさかシズちゃんをおかずにオナニーするまでだとはねぇ」
「ど、どうして、こんなものが…!」
臨也さんの言葉でだんだんと顔が熱くなっていくのを感じながら相手の言葉を振り払うように怒ったように聞くも臨也さんには笑いながらかわされてしまう
「やだなー怖い、怖い、そんなに怒らないでよ
昨日君にあげたブレスレットに盗聴器が付いてただけだよ
学校で習わなかった?
知らない人に物は貰っちゃいけないって」
「盗聴器…」
「あぁ…それと、さっき君が飲んだココアも媚薬入りだよ」