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happyendは望めない

第1章 幼馴染



「駿君は奈々ちゃんに優しすぎるよ。」

花の冠を握り締めた女の子は言った。

沢山の花に囲まれた広い野原の真ん中で、
女の子は静かに涙を流した。

優しく吹く風は、色とりどりの花の香りを運んでいく。

その場に座っていた男の子は、
目を丸くして驚いていたが、
やがて優しく微笑んだ。



「空ちゃん。泣かないで。」



男の子がそう励ましても、女の子は泣き止まない。

今度は、男の子がその小さな手で、
女の子の頭を優しく撫で始めた。



「空ちゃん。僕はね。

 空ちゃんのこと大好きだよ。だから、
 空ちゃんが泣いちゃったら、僕も泣いちゃうよ。」



男の子は立ち上がり、自分の頭にのっていた
華冠を女の子の頭にそっとのせる。



「…。駿君、本当?」



まだ涙が止まらないその目をこすりながら、
女の子は弱々しい声でこたえた。


「うん。本当。」

「ずっと空といてくれる?」

「うん!僕が空ちゃんを絶対守るよ!!」

男の子は元気にこたえた。
だが、女の子は不安を隠せず、また涙を流す。

男の子は、にっとわらうと、しゃがみこんだ。


「じゃあ、約束しよう?」

「やくそく?」

女の子は首をかしげた。

「うん。僕は空ちゃんとずっと一緒にいる。」

「…やくそくだよ?」

「うん!!」

女の子は泣き止み、笑顔で
男の子の小指に自分の小指を重ねた。


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