第4章 背中をさする @ 赤葦京治×β
誰もいない教室で咳き込む声がする。
うずくまって口を覆って、ずっと咳き込んでいる。
「…遙、大丈夫?遅くなってごめん。」
『ううん大丈夫、部活お疲れ様。』
赤葦の部活が終わるのを待っていた遙は、辛そうなのに無理やり笑顔を赤葦に向けた。
赤葦の彼女は、喘息持ちでΩという、泣きっ面に蜂のような少女だった。
元々はバレー部のマネージャーだったのだが、発情期が来たことで遙のフェロモンに反応する輩がいたために、赤葦がやめさせたのだ。
その輩というのがまた厄介なエース。
木兎光太郎だった。