[鬼灯の冷徹]鬼神の嫁の心得[パラレル→原作沿い]
第11章 草葉の陰
その感触は少しゴツゴツとして、頼り甲斐のありそうで、そして少しひんやりとしている。
つまりは私の体温が急激に上昇を始めていると言うことか。
「おしっ、押し倒したりしないよお?でも鬼灯の事はいつもすごいなあって思ってるよ!ね、ねえルリオ!?」
「え!? あ、はい。鬼灯様は地獄で最も優れた方だと」
「チッ…!!」
「「「(え、ええ~舌打ち!?)」」」
結構な音量で聞こえる舌打ちに、私と3匹は血の気が引くほど驚く。
すると私の手を握っていた鬼灯の手が緩み、するりと手が抜けた。
「ありがとうございます、でも大袈裟ですよ」
満更でもない…のか?
とりあえずその場は収まり、私もこの子達の前での醜態を晒さずに済んでホッとした。
これで全て巡り、出口へと足並みそろえてゾロゾロと歩き出した少しの間、沈黙が流れたがシロはその沈黙を破り口を開く。
「でも、結局さあ~……金魚草ってわからないね」
出口の廊下には金魚草が数種類飾られており、歌ったり騒いだりと気ままに靡いている。
「わかりませんよ。何度もそう言ってるでしょう。」
新種の金魚草の前で立ち止まり、見ながら私達は話した。
「…コレとか鳴き声も他のと違わない?」
柿助がそう言って見上げた新種は「Oh~~」と、現世のお笑い番組で時々流れるセクシーなおいろけシーンのBGMが似合いそうな、ネイティブな発音で鳴いている。
「ホント…何言ってんだろ…。存在意義もよくわからないよね…」
「私はそこが好きなんですが…。そのうちアッサリ解明してしまう人が出てくるかもしれませんが…それもわかりませんし」
金魚草はただただ好き勝手に、イミフメイな声で鳴き続けた。