第10章 【R18】木兎光太郎 〜balance smash〜
『こーたろー、髪乾かしてあげるー!』
「綾瀬のが先だろー!お前すぐ風邪引くから!」
私の髪をぐしゃぐしゃと撫でて、私の後ろに座って髪を乾かし始める。大きな手で大雑把にされて、光太郎は本当に髪乾かすのが下手くそ。
でもいつも楽しそうにしてくれるから、まぁいいかって私はいつも許しちゃう。
木兎光太郎はそういう人なんだ。
「綾瀬の髪は〜いいにおい〜〜♩」
『なんなのその歌、へんなのー。』
「いや、マジでいいにおいするから!髪ぱらぱらするとスゲーいいにおい!」
私と光太郎は同じ梟谷バレー部の選手とマネージャーで、高校の時から付き合ってた。部の風紀を守るためにって副部長の赤葦と話し合って三人だけの内緒にしていた。
卒業して、それぞれ大学に進学した私たちはこの春から一緒に住んでいる。
『ねー!次私の番だよー?こーたろーの髪触りたい!』
「わかったって!んじゃよろしくー。」
座ってる場所を交換して、ドライヤーの風を当てながら髪を撫でる。
光太郎はいつもワックスでバリバリに髪をセットしてるけど、お風呂上がりの髪を下ろしてる所は雰囲気がガラリと変わって急に色っぽくなる。
高校の時の合宿でも、お風呂上がりの光太郎を見た他の学校のマネ達が、知らないイケメンがいる!って事件になってたっけ。
サラリとしたアッシュグレーの髪。それに、太めの首からガッチリとした肩に、背中。ぼーっと見惚れていると、光太郎が振り返って私の顔を覗き込んだ。
「おーい!眠いのか?俺の髪が焦げるー!!」
『あー、、ごめん!はい、乾いたよ。』
ドライヤーのスイッチを切ってコードをまとめていると、突然光太郎にギューっと抱きしめられて、心臓がドキッとした。
「寝ちゃダメ。」
『眠くないよ、こーたろーの背中見てただけ。』
「ヘイヘイ!さては俺に見惚れてたなー?」
悪戯な笑顔を向けてニヤニヤと笑う。
『、、、、うん、そうかも。』
「えっ!ちょ、、、ばか、照れるから、、!」
『自分で言ったくせに、、、』