第3章 3咲目,初陣
入団テストに合格してから、早くも数ヶ月が経った。
私は本格的にエルヴィン団長のお手伝いや、リヴァイさんにしごかれるようになり、忙しい毎日を送っていた。
たまに、リヴァイさんが熱い視線を送ってくることがある。
まだ、私のことを好いてくれているのだろう。
その気持ちはとても嬉しい。
でも…私は…。
ぼんやりと考えながら廊下を歩いていると、曲がり角で人とぶつかって尻もちをついてしまった。
「っ、たた…」
「す、すみません!大丈夫ですか?」
「はい、私こそすみません。よそ見をしていて…」
ぶつかってしまった男性兵士が手を差し伸べてくれたので遠慮なくその手を取って立ち上がった。
その瞬間、背筋が凍るような鋭い視線を感じた。
な、なんだろう…いや…考えなくてもわかる…この視線は…。
視線の先にいる人を見ると…予想通りの人が立っていた。
眉間に深くシワを刻み、人を殺しそうな鋭い眼光を放つ、リヴァイさんだった。
よく見るとリヴァイさんの視線は私ではなく、私とぶつかった男性兵士の方に向いている。
その視線に震え上がっている男性兵士の元に、リヴァイさんがズンズンと近づいてくる。
「…おい、お前、ちょっと来い」
「は、はいぃ!!」
リヴァイさんは男性兵士の胸倉を掴み、ズルズルと引きずってどこかへ行ってしまった。
私はその迫力に何も出来ず、ただ呆然と見ていることしか出来なかった。
ハンジさんもその光景を見ていたのか、私の元へやってくる。
「あぁ~…リヴァイ、気が立ってるね~」
「はい…どうしてでしょう…」
「イリア、リヴァイと何かあった?」
「いえ、特には……あ…」
「その顔は何かあったって顔だね!?」
ハンジさんはキラキラと目を輝かせた。
「詳しく聞かせて!いいよね!さぁイリアの部屋でじっくり聞かせて!」
「え、ちょ、ハンジさん!?」
ハンジさんに腕を掴まれ、ズルズルと引きずられていった。