第3章 一つ合宿所の屋根の下
「その足音って、ゆっくりで…」
その言葉に、影山さんは何かを察したように私の先を引き継いだ。
「……廊下の端まで行くと、」
「少し立ち止まって、」
「また元来た道を行って、」
交互に言葉を繋げ合う。否、繋げられてしまった。
「「それが何度も何度も……」」
食堂が異様な程静まり返る。沈黙の中、田中先輩が歯をガチガチと震わせて声を零す。
「お、おい…昨日夜廊下歩いたやついるか…?」
その問いに答える人は一人もいない。全員の顔は更に青ざめ、スガ先輩は震えた声で言葉も吐く。
「じ、じゃあ…瀬戸と影山がお、同じ音っ、聞いてるし、誰も廊下歩いてないってことは……!」
「「「「ぎゃあああああああああああああああああッ!!」」」」
こうしてGW合宿2日目の朝を、全員の断末魔で迎えました。
(今度休日はまずお寺だな)