第1章 天→地
昨日は一人だった
いや、今日も一人。明日もきっと一人
丁度1ヶ月前家族を事故で無くしました。
雪道を走る両親を乗せた車は、スリップして壁に激突
…両親とも頭を酷く打ち、即死だったらしい
上も下も兄弟のいない私は、一人暮らしをしていたマンションをでて
実家に帰って来たのです。
「…ただいま」
長い廊下に響く私の声。返事はない
____"おかえり華ちゃん"
うん、お土産買ってきたよ
___"おう、遅かったな華子!"
うん、道が混んでたんだよ
前は、帰るとお土産をお母さんに渡して、何か言ってくるお父さんに適当に返してたんだっけ
「.…分からないッ」
1ヶ月前、あれだけ泣いたじゃないか、枯れるほど泣いたじゃないか
視界が滲む
自分の部屋に戻りベッドに倒れ込む
嗚咽する声が漏れる
抱えたクッションのカバーの色が濃くなっていく