第5章 何度でも
おやつの時間が終わって、お昼寝の時間になる。
全然眠くなんかないけど、先生が「おやすみ。」って笑って
頭を撫でてくれるから、ボクはそれが嬉しくてお昼寝の時間が楽しみで堪らない。
今日だって、いつも通りに「おやすみ。」と頭を撫でてくれた。
なのにふと目が覚めるとダイスキな先生の姿がなくて、
ボクは1人で先生の姿を探した。
明るい陽射しに少しだけクラクラして視界がボヤけた。
鉄棒の側にある桜の樹の下で先生の姿を見つけた時、
ボクは
センセイをヒトリじめできる…
と思った。
急いで靴に履き替えると先生の元へ走った。
先生の足にギュとしがみ付くようにすると先生はビックリした顔をした。
「征十郎くん? お昼寝は?」
「ねむくない。センセイはなにをしてるのですか?」
「先生はねお花を見ていたの。征十郎くんも見てみる?」
優しく微笑んだ先生に頷き返すと、
先生はボクの身体を抱き上げた。
先生と同じ高さになる目線。
花にグンと近くなる距離。
ボクの顔の隣には先生の顔があって、
先生の髪の毛からは優しい匂いがした。
「桜って言うのよ。暖かくなると花が咲いて春を教えてくれるの。」
「はる…?」
「そう。征十郎くんのお誕生日は冬。この桜のお誕生日は春なの。」
先生がとても嬉しそうに笑うから、ボクは先生から目が離せなかった。