第2章 オレの日常
桜の花びらはほんのりピンク色。
ハートにも見えるその形になんだか恋の始まりを告げられたようで
擽ったい気分になる。
オレはその桜の花びらを本にそっと挿むと静かに本を閉じた。
白い紙にはの連絡先が書いてあった。
ほんの僅かな眠りで過去の記憶を辿った夢。
瞼を上げると、オレの顔を覗き込むの眼差しが優しくて
何だか心が温かくなる。
「夢…見た。」
「夢?」
「そう。お前が屋上で告白した日の。」
身体を起こしてに視線を移すと、
の頬はほんのり色付いていた。
「オレは、赤司がオレの日常を“非日常”に変えたと思ってたけど。
そーじゃなかったな。」
何時も持ち歩くラノベのとあるページを開けば、
そこには1年前の桜の花びらが色を変えることなく存在している。
と一年過ごしてきて、変わることのないその態度。
そこに馴れ合いなんてモノは存在しない。
色を変えることなく存在する花びらが、
これからも変わる事ない二人の思いを表している気がして、
オレは自分で“非日常”を齎してみたくなった。