第64章 【強制召集宣言?あるいは一時休戦】
「で、成田さんと木下さんは何でこちらに。」
話を振られた成田はああ、と苦笑した。
「縁下は妹と一緒だし、」
続けて木下が言う。
「田中と西谷は大地さんが今んとこ抑えてるみたいだし。」
「今んとこ俺らの出番はないかなって。」
「ってーか今から疲れたくねー。」
交互に言う比較的常識派2人に山口が大変ですね、と苦笑し月島は黙っている。
「ツッキー、どうしたの。」
山口が尋ねるが月島は別にと呟いた。
「でもこれあれだよな、」
木下が言った。
「一時休戦って奴。」
成田がああそうかも、と頷く。
「試合関係なくこんだけ一緒にわいわいなることって早々ないよな。」
「引き連れてきた美沙さん、やっぱり恐るべし。」
「そのままコさんですけど、」
月島がボソッと言った。
「もう一発何かやらかしそうですね。」
え、と山口、成田、木下が言って月島と同じ方に目をやると美沙が及川に抱きつかれてふぎゃあああと叫んでいた。
「お、おい、成田あれやばくね縁下暴れたりしねーか。」
「暴れはしないだろうから様子見よう、縁下が対応しきれなくなったら出動しよう。」
「お、おぅ。」
幸い、成田と木下が出動する必要はなかった。
「美沙ちゃーん、癒してーっ。」
「ふぎゃああああっ、兄さん助けてー。」
「さっき言ったとこなのにまだなさいますか、この人は。」
「縁下君、待て落ち着いてくれっ絞めたくなるのはわかるけどよっ。及川さんもやめたげてくださいって人がめっちゃ見てるしっ。」
「やだー、今回は縁下君に怒られてもいいもん。ってイタタタタタっ、ちょっと狂犬ちゃんっ。」
「ままコは兄貴以外抱っこ禁止っつってた。」
「狂犬ちゃんがバレー以外で学習してるっ。」
「ありがとう、京谷君。美沙はもっとこっちおいで。」
「あい。すみません、京谷さん度々お手間かけまして。」
「別に。」
「ちょっと、狂犬ちゃんがいつも以上に俺に冷たいっ。」
「はいはい、及川さんは岩泉さんとこ戻りましょうね。京谷、行くぞ。」
「おう。」
「矢巾ちゃんまで厳しくないっ。」
「さすがにこればっかりは擁護できないっす。」
「じゃあな、ままコ、と、ん、ん」
「もうまま兄(あに)でいいよ。」
「ええの、兄さんっ。」
「じゃあまま兄貴。」
「京谷さんも順応が早い件っ。」