第64章 【強制召集宣言?あるいは一時休戦】
更にこちらでは及川がブーブー言っていた。
「今度は狂犬ちゃんが美沙ちゃん独り占めしてるしー、もう何なの。」
「何なの言いてえのはこっちだわ、これ以上訳わかんねー事言うな。」
「岩泉さん、お大変そうですねー。」
「そっちこそあのメンツでしかも病的シスコン野郎がいるしたまに半分ボケが混ざるしじゃ面倒くさいだろ。マネージャーも楽じゃないな。」
「いえ大丈夫です、縁下さんは普通の時はひたすら普通なので。ね、清水先輩。」
「そうね。」
「相変わらずそっちも美人さんだよね、あ、そうだもし良かったら」
「仁花ちゃん、あの人と目を合わしちゃ駄目よ。」
「え、あの、清水先輩っ。」
「及川さんショックっ。」
「此の所美沙ちゃん美沙ちゃん言ってたくせにすぐそうやって節操なしに誘うからだボゲ。まともな奴ならそらスルーするわ。」
「だってー、美沙ちゃんてば縁下君ががっちりガードしててさー、しかも狂犬ちゃんと矢巾ちゃんまでさー。」
「てめーっこの優男っ。」
「あっ、田中さんっ。」
「縁下妹追っかけてたと思ったらこんどはまた俺らの潔子さんとやっちゃんに手ぇ出す気かゴルァっ。」
「おうよ、いい度胸じゃねーかっ。美沙はともかく潔子さんとやっちゃん困らせんじゃねえっ。」
「西谷さんっ、それはそれで縁下さんが怒っちゃいますっ。」
「だああっ、まためんどくせーのが絡んできやがってクソ川のせいだっ。」
「人気者は辛いねー、美沙ちゃん風に言ったら有名税って奴かな。」
「最低。」
「ぐはっ。」
「清水先輩が言っちゃったっ。」
「こらっ、田中に西谷っ。いくら相手が及川だからってやめろっ。すまんな、及川。」
「謝りつつ澤村君も何気にひどいっ。」
「悪いな、うちの馬鹿キャプテンが。」
「いやこっちこそ、ハイテンション組が。油断も隙もない。」
これはひどい。言うまでもなくひどい。
「なんなのこの有様。」
少し距離をとって月島が呟いていた。
「滅多にない光景だね、ツッキー。」
横で山口が笑い、月島は横目で更に山口より横のあたりを見る。