第62章 【強制拘束宣言あるいは夏祭りにて】
まさかの撮影が入ったがとりあえず縁下兄妹は男子排球部の連中との集合場所に到着した。
「お、縁下兄妹。行動早いのは流石だな。」
澤村が気づいて兄妹に声をかける。挨拶をしたら例によってと言うべきか菅原、東峰、田中、そして西谷も既に来ている。
「あーっ。」
田中が声を上げた。
「縁下妹が浴衣着てるぞっ。」
「すげーな、美沙が珍しいじゃねえかっ。」
「ちょ、西谷先輩、私は珍獣かっ。」
「近年稀(まれ)に見る浴衣嫌いがよく言うよ。」
「兄さん、アカンて菅原先輩に聞こえるっ。」
「浴衣嫌いて何の話。」
「ふぎゃああっ。」
何の話か教えろと言わんばかりの菅原に動揺する美沙、そこへ東峰が慌てて言う。
「スガ、やめてやれって何か触れられたくないみたいだぞ。」
「えー、どうせ弄られポジションだろ、縁下兄妹の場合ー。」
「ああああの菅原さん、俺も込みですか。」
「今更何言ってんだよ、縁下。」
「兄さん、気ぃ落とさんと。」
「大体お前のせいな気もするよ、美沙。ああそれより田中と西谷、頼むから喧嘩は勘弁な。」
「力っ、どーゆー意味だっ。」
「そのままだよ、多分大地さんもそっち心配してるから。」
聞こえた澤村がハハハと苦笑した。
そんな事を言っている間に他の連中も到着した。
「お待たせしましたー。」
「あ、谷地さん。」
「美沙さんっ、浴衣着てきたのっ。」
「う、うん。お母さんがつこてた奴借りた。」
「素敵、似合ってるよー。ね、清水先輩。」
「可愛い。」
「あ、う、ありがとうございます、清水先輩。」
清水が到着となればもちろんこいつらが黙っていない。
「潔子さんっ。」
「今日はいつにもましてお美しいッスっ。」
「ノヤっさんっ。」
「おうよ龍っ、腕がなるぜっ。」
「あはは、田中さん達清水先輩の護衛する気満々だねえ。」
「谷地さんも混ぜてもらっとき、可愛いから危ないで。」
「えと、美沙さんは。」
「私をナンパする阿呆がおったら見たい。」
「いやいやいやっ。」
などと言っていたら上からとゆーかさ、と声が降ってくる。成田だ。
「美沙さんの場合は縁下が目を光らせてるだろ。」
「あ、成田先輩に木下先輩こんばんは。ほんで成田先輩、どゆことですか。」
「うん、自覚がないのかわかってて念の為かどっちかな。」