第6章 【外伝 翔陽と研磨の会話】
「疲れた。」
「どうしたぁ、研磨。」
幼なじみの黒尾がいつの間にか来ていた。
「クロ、もう夜。」
「いーじゃねーか、おばさんも入れてくれたしよ。で、珍しく電話で喋ってたみてえだが。」
「別に。」
まさか烏野の意外な人物が深刻な妹依存症であるなどとは言えない。しばらくの沈黙ののち、またスマホが振動する。ロックを解除し受信したメールを見た研磨はもう、と呟いた。
「いらないって言ったのに。」
翔陽がよこしてきたそれは烏野男子排球部関係者の写真だ。遊びにでも行ったのか私服の14人は知っている顔、しかし端の方に森ガールっぽい服装の細っこい知らない少女が背番号6番の少年の後ろに隠れるように写っている。
「やっぱりおかしい。」
研磨は写真を一部拡大しながらつい呟いた。
「あん。」
「これ絶対こっそり手ぇ繋いでる。」
「おい研磨、何の話だ。」
黒尾を無視して研磨は呟き続けた。
「この兄妹大丈夫なのかな。」
ほったらかされた黒尾は勝手に研磨のスマホの画面を覗き込み、お、知らねえ女子だでもあんま可愛くねえと縁下力が知ったら激怒しそうな事を呟いていた。
次章へ続く