第13章 ★狂い出す歯車★
彼等と関わらなくなったまま
私達は卒業式を迎えた
私の心を知ってか知らずか空は晴天
学校に植えられている桜は風にのって花びらを散らす
私は卒業証書を入れた筒を片手に空を仰ぎ見る
なんて綺麗な青空....
ドドドドドドドドドッ!!!!
ん?
『『『『お姉さま~!!!第二ボタンくださぁ~いっ!!!!』』』』
砂ぼこりをあげながら同級生から後輩まで大量の女の子が私に向かって押し寄せてきた
『ボタンかぁ~、ゴメンね二つまでしかないんだ....』
瞬間女の子たちは白熱しながらジャンケン大会を始めた
女の子達の戦いを見届け勝者の子にボタンをあげ、敗者の大勢には可哀想だったからキスをしてあげた
今までお世話になった先生たちにも挨拶を済ませ、私は一人気の向くまま学校中を歩き回ることにした
最初は自分達の教室...音楽室....
本当に卒業しちゃうんだ...これから皆離れてそれぞれの道を歩む
私はこれからどうすればよいのだろうか...
ふと気づいたときには私の足は体育館の中央に立っていた
『あれ?どうして私...』
今更体育館に来るなんて...どれだけ未練がましいのかしら...
ふと視界の端にボールが一つ
『まったくもう、誰よ片付けてないの...』
そっと持ち上げ感触を確かめる
まだ充分硬くよく磨かれている
さつきかな?
そういえばさつきには悪いことをしてしまった....一人で一軍を任せてしまった
あぁ、ダメだなぁ、泣きたくなってきたよ
ボールを抱えたままその場に寝転がる
ひんやりとした床が心地よい
なんだかんだ言ってここが私の一番の思い出が詰まった場所なのだ...
そっと目を閉じた
同時に体育館の入り口が開く音がした
でも私は目を開けない
その人は私に気づいたのかゆっくりと近づき隣に座った
そして私の手をそっと握り
『ごめん...』
と小さく呟いた
私は黙ってその手を握り返した
結局私はその人が去るまで目を開けることはしなかった
Fin...