第3章 酩酊
私なんかが泣いていたって、誰も見向きもしないでしょう?
さすがね、ほんと…っ…さすがっ……
虹「桃井、どうした?」
桃「っ…いえっ…なんでもっ…すいません、ちょっと出てきますっ」
そう言うと、桃井は体育館を駆け出して行った。
虹「…おい、霧咲。お前何したんだ?」
呆れた顔でこっちを見てくる。
『私は別に…なにもしてません…』
「うわぁ…あれだけ桃井を追い詰めた状態にしといてあの態度だぜ」
「いかにマネージャーに桃井がいてくれて良かったか分かるよな。俺、霧咲だけはムリだわ」
小声で聞こえてくる、本来裏で言われているはずの悪口。
私はなにもしてない、桃井が勝手に泣いただけでしょ?なんで私がっ…
そう思うと同時に、涙が溢れてきた。
周りがざわついているのがわかる。