第3章 酩酊
『好き…だよ…』
言うか言うまいか迷ってる暇などない。
ゴタゴタ考えた時間、コンマ2秒。
桃井相手だ、仕方ない。
「…そっか…うん、ごめんね、いきなり」
あぁ、嫌な雰囲気。息苦しいから更衣室から出る。
桃井も一緒に出た。
“が、”
体育館の床に何かが落ちた。
桃井がうつむいて、床に何かが…ーーー涙、大粒の涙が落ちていた。
待って待って待って、勘弁してよ。
まだ体育館には部活中のバスケ部、桃井が座り込んだからか、泣いているのに気付いたのか、皆がこっちを凝視している。
私が、私が悪者みたいじゃない…虹村さんまでこっちを見てる。
そりゃまぁ注目するでしょ、バスケ部のマドンナだもんね、桃井は。